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視力回復手術で。

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20年ほど前にレーシック手術を受けた。大昔には何百万もかかった自費手術であったが、価格が手ごろになり、また手術経験者とも話す機会も得たので一念発起してやった。術後は視力の解像度が抜群に上がり、勇み足で富士山に登りご来光を仰いで感動した。パチスロにも行ってみたが7は揃えられなかった。あれは当選確率なのだ。目が良くったって駄目。もちろん周知のことではあったが、万が一、ということもあると思ったのだ。

 しかしいいことばかりではない。夜目が効かなくなり、目玉が乾燥しやすくなった。とはいえ夜目は夜に運転をしなければよく、乾燥は伊達メガネをかければよい。最大の問題は人の目を見てられない、ということだ。

 いきなり上がった世界の解像度に脳が拒否反応を起こした、と言えるかもしれない。なにしろ今までメガネをかけたり外したりして自然と調整してきた世界が、強制的に細かいところまでハッキリ見えてしまう。相手の眼球の動き、額の肉の動き、髭の剃り方、唇の荒れ方まで気になりだす。今までは相手の話を「うんうん」と聞いていたものがとてもできない。人間の顔面とはこんなに生物々々していたものかと驚愕した。しかしまあ、慣れる。だんだんと1年くらいかけて慣れて、退屈な話を聞いているときは、顔面のシミやほくろを線でつないで北斗七星を作ったりした。古代人の星座神話に通づるものがある。彼らも退屈しのぎだったに違いない。